南アフリカ ケープタウンへの旅に興味がある人なら、きっとこのカラフルな建物を思い描く人も多いのではないだろうか。
私もその一人だった。
このエリアの歴史を何も知らなかった時から、ただただ可愛いからと、興味を持っていた。
オレンジ色のTシャツに合わせてオレンジ色の家の前で写真を撮る人もいたりと、BO-KAAPはツーリストの人気スポットの一つだ。
とはいえ、治安が良いとは言えないエリアだと言う。
このエリアではドライバーさんも一緒に車を降りて、私たちの近くで見守っていてくれた。
きっとみんな、自分の好きな色の家の前で写真を撮るに違いない。
私は迷わず、ピンクと水色のこのエリアを選んだ。
まるで作り物のように可愛らしい建物だけど、実際に暮らしている人がいる。
ここは、ケープタウンで最も古く歴史のある住宅街。
せっかくケープタウンを、そしてこのBO-KAAPを訪れるのであれば、ぜひ歴史を知った上で訪れてほしい。
メイン通りの真ん中には、Bo-Kaap Museumがある。
アパルトヘイト時代から現代に到るまで、このエリアで暮らしているのがイスラム教徒の人々。
この美術館では、南アフリカにおけるイスラム文化に触れる事が出来る。
BO-KAAPエリアに人が住み始めたのは、1700年代のこと。
もともとは、東南アジアなどから連れられて来た奴隷たちが暮らしていたエリアだった。
奴隷解放となった際に、自由の象徴として建物をカラフルにペイントしたという。
その後のアパルトヘイト時代には、市中心部から非白人が強制移住をさせられた。
そんな中、BO-KAAPはイスラム教徒地区と指定され、唯一の非白人地区であり続けたとのこと。
1994年、制度上のアパルトヘイトが撤廃されてからは、立地の良さを理由に多くの企業がこのエリアを開発しようと動き出した。
これに対し、住民たちがこの街を守るために戦い続けた結果、やっと遺産地域として認められる事となったのだ。
とはいえ、変わらないものだけではない。
古くからある文化を “壊す” わけではなく、新しいものが入って “共存” していけたら良いなと感じた。
2019年5月、BO-KAAPは南アフリカの遺産地域として正式に登録された。
私たちが訪れた2週間前である2019年9月末にはヘンリー王子夫妻も訪れていた。
確かにここは、カラフルで可愛い場所。
知る/訪れるきっかけは、そんな小さな事でも良いと思う。
ただ、そこから歴史を学び、文化に触れ、自分なりに考えをまとめてみたり思いを馳せたり。
そういった経験が、自分を形作る要素となると、改めて感じた今回の旅だった。
—-
BO-KAAP
71 Wale St, Schotsche Kloof, Cape Town, 8001